シャレード/The Truth About Charlie | |
監督/脚本/製作■ジョナサン・デミ オリジナル脚本■ピーター・ストーン アメリカ■2002年 CAST レジーナ・ランバート/サンディ・ニュートン ジョシュア/マーク・ウォールバーグ バーソロミュー/ティム・ロビンス シャルル・アズナブール/シャルル・アズナブールレ |
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STORY 未亡人となったレジーナは夫が奪ったという大金をめぐってかつての仲間につけ狙われる。だがレジーナは金がどこにあるのか何も知らない。リゾート地で知り合った男ジョシュアとレジーナは再会し恋に落ちるが、その男もまた謎の男だった…。 |
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感想 1963年版シャレードは監督にスタンリー・ドーネン、出演がオードリー・ヘップバーンにケーリー・グラント、ウォルター・マッソーにジェームス・コバーン、音楽はヘンリー・マンシーニ。なんとも豪華!!これのリメイクって考えただけでも無理があるし、さぞや難しいことだろうと思いつつ観ました。 主人公のレジーナ役、サンディ・ニュートンはトレンチコートがよく似合ってる。そして謎の男にマーク・ウォールバーグ。(兄はニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックにいたドニー・ウォールバーグ)この2人も悪くはないけど、こういった映画としてはもう1つ花が足りないような気がする。が、それも63年版のイメージからそう感じてしまうのかもしれない。デミ監督はあえてこの2人を選び、63年版とは全く別の印象のカップルにした。夫チャーリーとレジーナもまた共通項を感じさせない不思議な組み合わせ。またレジーナをつけ狙う3人もそれぞれ様々な人種で、1人は女性。ドーネン版とはまったく別の雰囲気です。ティムはウォルター・マッソーのようなとぼけた味ではなく、表情が厳しく苦みばしっている感じ。髪も白髪交じりで、貫禄を出すための役作りだろうか(それとも地毛!?えっ!?) 前半までは「ストーリーも知ってるしな」、と63年版を先に観てしまったことを後悔したが、後半は大分脚色されていて新たに夫の母なんて人も出てきたり、サスペンスとしてはより複雑化している。ラストシーンなんて全く印象が違う。だからすでに63年版を観た人でも大丈夫、新しい面白さがあります。 カメラワークに凝り、音楽も大胆に取り入れていて(シャルル・アズナブール!!)お洒落感があり、細かい演出や遊びの部分を拾って観ていくと楽しいところもあるが、(カメラアシスタント兼ヴィデオスペシャリストにヴィンセント・ギャロの名前もあった)結局入り込めず、最後まで冷静に観てしまった。リメイクものは元の映画が好きな人が観るとどうしても厳しくなってしまいがちなのでその部分は差し引かないといけませんが。この映画のよさは所謂ロマンティックなパリとはまた別の顔をみせてくれたところ。63年版はファンタジックな甘いパリ、こちらはもっと多国籍的でエキゾティック、スパイシーな香りがします。そこがこのサスペンスストーリーに加味され、いっそうスリリングです。 このポスターデザイン、かわいい!→Poster →THE TRUTH ABOUT CHARLIE official site |
ミスティック・リバー/MysticRiver | |
監督■クリント・イーストウッド 原作■デニス・ルヘイン 脚本■ブライアン・ヘルゲランド アメリカ■2003年 CAST ジミー/ショーン・ペン デイブ/ティム・ロビンス ショーン/ケビン・ベーコン ホワイティー/ローレンス・フィッシュバーン セレステ/マーシャ・ゲイ・へーデン アナベス/ローラ・リニー |
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STORY 3人の子供達が遊んでいたところへ警察を装った男が1人デイブを連れ去った。4日間監禁されたその恐ろしい体験がその後大人になってからも彼に深い影を落としている。他の2人のうちの1人ジミーの19才の愛娘がある日、惨殺されるが、デイブが容疑者とされる。刑事となっているもう1人のショーンが事件を担当し3人は25年の時を経て再会する。 |
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感想 はっきりとネタバレしているわけではありませんが、率直な感想なので観る前に何の先入観も持ちたく無い方はここは読まないほうがいいと思います。 帰りの足取りは重かった。まだいささかおとそ気分が残っていた呑気な私はいそいそと映画館に出かけ…しかし映画を観てすっかり打ちのめされてとぼとぼ帰ってきた。さすがにおとそ気分も消え去った。 この作品についてはオスカー有力候補という声もささやかれているせいか、様々なメディアや本やサイトで感想や評論を読んだ。もう今更私が言うことは何もないと感じる。だからここでは作品感想というよりも、ティム・ロビンスのファンの1人としてこの映画でみたティム・ロビンスについて感じたことを中心に少し書こうと思う(稚拙ですが)。ただこれはあくまでも個人の意見でファン代表ということではないのです。 ティム・ロビンスの演じるデイブは冒頭から恐ろしい目に遭う。(もちろんこの時は子供が演じているが)その怖さ。空白の時間に彼はどんな目に遭ったかと想像すると鳥肌が立つ。クリント・イーストウッドはこの恐怖の時を露骨に描写しない。車の中から振り返り遠ざかる友達2人の姿…。その後は暗い倉庫のドアが開く、森を逃げる、この2つをみせるだけにとどめてくれたことが有難かった。下品に全てをみせなくても彼の恐怖心を伝えるには十分だった。その後大人になった3人の運命は事件をきっかけに再び重なるのだが…。 この映画を観終わって、ティム・ロビンスのこのような演技を初めて目の当たりにし、それは自分が俳優ティム・ロビンスに期待したものとはまるで違っていたので大きな戸惑いを感じた。 監督のインタビューで興味深かったのは3俳優がとことん3人で脚本を読み込み研究し人物を作り上げていったという部分だ。これほどの実力派俳優達であり(少なくとも自分の好きなタイプの演技をする俳優達)、その上この3人は監督でもある。演技について自分さえうまくいけばいいという利己的な考えは持たず、あくまでも作品の中のキャラクターとしての調和を考えたに違いない。今回のティムのデイブに対する解釈はそういった中から生まれたものなのだろう。 これまでのティムのはまり役、エグゼクティブな重役、または馬鹿だが可愛く憎めない男でもなく、賢く希望を忘れない男でもない。利口そうに片まゆをくいっとつり上げる顔、えくぼをみせる笑顔、そんなものはひとっ欠片もこの作品の中にはみられない。ただ鈍重でもっさりとした仕草や表情を持ち心に大きな傷を抱えた男がそこにいる。要するにいいところなんて1つもない!ファンとしてはショックを受け、おろおろしてしまったのが正直なところだ。しかし時間がたってみるとその衝撃は徐々に薄れ、彼の新しい演技の扉が開かれたことを今強く感じている。娘を亡くし悲しみに暮れるジミーの隣で所在無さ気にジミーを窺う時の表情や後半のあのシーンのデイブの怯えの目は忘れられずに焼きついている。この役をやったからにはもう何をやっても構わないという心境だ。俳優としてどんどん新たな引き出しをみせてその都度私達を驚かせて欲しい。 ショーン・ペンは流石に素晴らしく、ジミー役は彼以外には考えられそうもない。段々明らかにされていく過去によってジミーのイメージが変化していく。ケビン・ベーコンも普通にみえて妻との関係や昔住んでいた街と再び対峙する時の複雑な心理を巧みにみせている。助演の女優らを含め、このキャスティングをした時点で、もうこの映画は完結しているというか、それぞれが素晴らしい演技をみせるであろうことは間違いないと確信できるほどの実力者達が揃っている。 正月早々陰鬱な映画をみせられたと感じてる人、この作品こそオスカーを獲るに相応しいし3人の誰がとってもいいと感じている人、そのどっちの気持もよく分かる。この映画には破綻も綻びもなくきっぱりと揺らぎがない。 このストーリーを好きか嫌いかで言えば個人的には好きじゃないと答えるだろう。そうだ、監督がこの原作を選んだ理由の1つはそこにあるのかもしれない。万人うけするような生ぬるいハッピーエンドにすっかり慣れてしまった人達に、最後にはきっと救いがあるだろうと望む人達に、情け容赦なく冷たい水をザバッとかけた73才。か、かっこいい〜!!「これで救いがあったら他の映画と同じだろ?」とでも言うように。 MYSTIC RIVER official site |
ハイ・フィデリティ/High Fidelity | |
監督■スティーヴン・フリアーズ 脚本■D・V・デヴィンセンティス/スティーヴ・ピンク/ジョン・キューザック/スコット・ローゼンバーグ アメリカ■2000年 CAST ロブ/ジョン・キューザック ローラ/イーベン・ヤイレ バリー/ジャック・ブラック ディック/トッド・ルイーゾ リズ/ジョーン・キューザック マリー・デサル/リサ・ボネット サラ/リリ・テイラー ペニー/ジョエル・カーター チャーリー/キャサリン・ゼタ=ジョーンズ イアン/ティム・ロビンス |
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STORY オタクレコード店を経営する独身男ロブは同棲していた彼女が出て行ってしまったことをきっかけに、これまでの悲しい恋愛遍歴を振り返る。音楽と恋愛と曲者達が絡むラブコメディ。ジョン・キューザックが主演、製作、脚本、音楽監修を担当した。 |
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感想 音楽好きとしてはコレはもう大好き。 ビルセバからマービン・ゲイまで年代もジャンルも越えて次々とミュージシャン名や曲名、レコードが出てきてそれがいちいち楽しい!音楽的にはさほどコアではないけど、ど真ん中ではない選択で、ある程度音楽を聴いてきた人ならニヤリとするようなチョイスがいい感じです。 しかし逆にその部分に興味のない人や、ある特定のジャンルしか聴かない人はここまで楽しめないのではないでしょうか。 ジョン・キューザックはおたくレコード屋を経営している独身男、ロブ役。これは見事に彼のはまり役。子供のまま大人になっちゃっててレコードしかない部屋に住んでいる。こんな人現実に結構いそうだ。恋愛部分に関しては最後はなんだか甘い気がしたけどそのヘンは目をつぶろう。一応恋愛ものが軸になっている映画ですがそこよりもレコード屋で展開するドラマのほうがずっと興味をひかれました(個人的には)。姉ジョーンをはじめ個性あるメンバーが出演しています。特によかったのはレコード店の店員2人(ジャック・ブラックとトッド・ルイーゾ)。対照的なキャラで、ああーーっ!!もう最高っ!! ティムは予想もしなかった登場のしかたで驚かされました。なんだかはまってしまってそのティムを観ながらずっと笑ってしまいました。ワハハハ、未見の人は期待していて下さい。 やはり音楽好きの人にオススメ!ぜひ観て欲しい映画です。 →High Fidelity site →High Fidelity site |
デッドマン・ウォーキング/DeadmanWalking |
監督/脚本■ティム・ロビンス 原作■シスター・ヘレン・プレイジョーン 音楽■デヴィッド・ロビンス 主題歌■ブルース・スプリングスティーン アメリカ■1995年 CAST シスター・ヘレン/スーザン・サランドン マシュー/ショーン・ペン ヒルトン・バーバー/ロバート・プロスキー イール・デラクロワ/レイモンド・J・バリー クライド・パーシー/R・リー・アーメイ |
STORY 若いカップルを殺した2人組の1人が死刑を宣告された。その男と文通をすることになったシスターへレンは彼と会い、死刑にしないよう裁判で恩赦を求めるが却下される。ふてぶてしい態度のマシューだったが次第にシスターと心を通わせはじめる。 |
感想 初めはこの映画を観ることに気乗りがしなくて(説教くさそう、真面目そう、いわゆるヒューマニズムに溢れた感動的な…とか言われそうなたぐいの映画かなあと)ぐずぐずして観なかったのですが、テレビで放送した時に初めて観て、ショーン・ペンの演技は真に迫っていながら決してくさい演技ではなくマシューという人そのものにみえました。スーザン・サランドンは、自分も悩みながら静かに彼を支える共感のもてるシスターを演じていました。この2人の役をもし●●や■■がやってたら…だいなしになっていたはず。ただこの時点ではこの映画が本当の意味で自分にとって大きなものにはなっていなかったのですが。 昨年再びこの映画をみたとき世の中は、戦争やテロに一般の人達が毎日大勢巻き込まれ死んでいく…そんな社会情勢の中にありました(現在も)。人が人を殺すということがどれほどの重さを持ちその周りの人をどれほど不幸にするか、そして正義という名の元に人が人を裁き、殺す(死刑にする)ということについてあらためて考えさせられ、この映画を作ったティム・ロビンスの凄さが身に沁みて分かりました。監督の視点はどちらに肩入れすることなく淡々としており、どちらの家族もよくある普通の家族として描いていて、それがある日を境にどちらの家族も不幸に陥っていきます。悲しみや苦しみが激情的ではなくリアルで、だからこそ、その痛みは伝わってくるしつらい。 ショーン・ペン演じる死刑囚の心の動きについて、「キリスト教徒じゃないからよく分からない」という人もいるかと思いますが、宗教観というよりは人は希望がなければ堪えられないような状況にある時、何でもいいから心のよりどころを求めてしまうのではないかと思います。それが彼の場合キリストだっただけで他のものにも置き換えて考えられることではないかと…。 この映画に対しては初め、どちらかといえばスーザンの方が積極的だったそうですが、この2人が夫婦だったからというよりは、同士ともいえる監督と女優の信頼関係と信念とが見事にスーザンのオスカー受賞という形で実ります。こうしてみると原作の通りに死刑反対論を訴えるものにしなかった監督の冷静な視点がよりこの映画を緊張のあるものにしているし、被害者、加害者、両方の家族、これらの姿を対比させてみせていくこの映画は、観るものに強く問題提起しています。ラストでのマシューの言葉が印象的で、この映画は深く心に突き刺さり、衝撃的で忘れられない作品になりました。 |
ミッション・トゥ・マーズ/Mission to Mars | |
監督■ブライアン・デ・パルマ 脚本■ジム・トーマス/グレアム・ヨスト/ジョン・C・トーマス アメリカ■2000年 CAST ジム/ゲイリー・シニーズ ウッディ/ティム・ロビンス ルーク/ドン・チードル テリー/コニー・ニールセン フィル/ジェリー・オコーネル レイ/ミューラー・スタール |
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STORY 有人初の火星探査に行ったマーズ1号だが突然事故に遭う。ルーク以外全員死亡、ルークからの謎の言葉を最後に交信は途絶える。仲間をを救うため、原因究明を目的として救出ミッション4人を乗せマーズ2号が発動する。ところが途中で隕石により故障をし、マーズ2号は大ダメージを受けてしまう。NASAの全面協力による宇宙ステーションや宇宙船の再現は見事。音楽はエンニオ・モリコーネ。 |
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感想 あのブライアン・デ・パルマのSFものというと予想もつかなかったのですが、最後まで観て、これは誰にも予測つかないなと思いました。 前半1時間、これほど無重力状態のリカバリー号機内部やミッションたちの様子がリアリティをもって描かれているのが凄いし楽しくて飽きさせません。さすがNASAの全面協力による映画だけあるな。あるモノでフィルが(ジェリー・オコーネル)DNA配列を作っている場面がかわいくて印象的。しかしティム演じるウッディとその妻テリー(コニー・ニールセン)はあまりにものんきすぎ!重要な任務を抱えた立場のわりに2人でいちゃついていたり妻を亡くしたばかりのジムの前でダンスを踊ったり。まあこんな2人だからこそ後の展開が…なのですが…。逆にミッションといえど普通の人間だということがいえます。冒頭のパーティーシーンはそれぞれが家庭があり、環境や立場や性質や特性が違う人間達が1つの目的、任務のために集結しているのだということをあらためて認識させられます。 だがゲイリー・シニーズも出演していた「アポロ13」では観ている側も手に汗握ったのですが、この作品では全体的に緊迫感が薄く、そのまま後半は話が思わぬ展開になっていき、あれよという間にとんでもないラストまでいきます。とんでもないといえばもちろん○○○の姿なんですが、まるで小学生が想像して描いたような造形で心底驚きました。かわいいけど。 また、ティム演じるウッディが○○の場面は、この作品の中でも特に大きな山場。怖いです。 この作品はどこに視点をおくかによって楽しめる人と首をかしげる人と分かれるのかもしれませんが、私は無重力空間シーンは自分も体感したような気持ちで堪能できました。やはり問題というか残念なのはストーリーで、このキャストでこの設定ならばもっともっと面白くできたはずなのにという思いが無念でした。わりとつっこみどころがある映画なので数人で観てあれこれ言いながら観ると楽しいかも。(上映会したい!!) →MISSION TO MARS movie site →MISSION TO MARS soundtrack site |